ナカシマ

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ナカシマ

ナカシマさんは男性です。


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2017年8月31日



東上線の話

もう大分前の話なのですが、東上線の朝の電車に乗っていました。当時(今も?)は、東上線の朝の電車と言えば、埼玉の住民が皆、会社や学校に行くために終点の池袋駅に向うための電車で、準急とか急行に乗ると、満員の車内ではそのまま池袋まで、前後左右、互いの周りの乗客は入れ替わることがありません。

赤ん坊を抱いた一人の婦人が座席に座っていて、座席の前には満員電車の常の様に客が立っています。赤ん坊を抱いた女性が何かをしなくてはならなかったらしく(それが何であったか思いだせません)少し迷うよなしぐさをした後で突然前に立っている女性に、「すいません、ちょっと抱いていていただけませんか」と赤ん坊を差し出したのです。そのセリフははっきりとは憶えていないのですが、大体そのような言葉を使って目の前に立っている女性に赤ん坊を抱いていてくれるよに頼んだのです。

立っている女性はそのまま赤ん坊を与る形で座っている女性は何かをして(たとえば手提げから何かを取り出すとか)すぐに赤ん坊を抱いている女性に礼を述べて赤ん坊を引き取りました。

ここまでであれば、もうとっくにこの場面は忘れてしまったはずの、取り立てて思い出すほどの話ではないと思うのですが、この話には続き、というか最終章があります。

電車が池袋に到着して満員の乗客が降り始めて全員が電車の降り口に向うなか、先ほどの赤ん坊を預かった立っている方の女性が赤ん坊を抱いて座っている女性に向って、周りに聞こえるような大きな声で、

「奥さん、わたしだってお金を払って乗っているんですからね!」と怒りを発したのです。赤ん坊を抱いている女性は、何度も頭を下げていました。

その時、私を含めて、周りの乗客は、何か嫌な感じになったのでした。それは自分の心の気持ちと、周りの人たちの顔色からそういえるのです。

なぜ嫌な気持ちになったのかは良くわかりません。私はプラットホームを歩いて行きながら、これは何が悪いのだろうと考えました。赤ん坊の女性が厚かましいのか、抗議した立っていた女性に微笑みとか寛大さとかいったものがないのか。

今でもわかりません。

駅の階段を下りながら、私は何度も次のようなシーンを繰り返し、繰り返し思い浮かべていました。必死でした。

その想像のシーンとは、座って赤ん坊を抱きながら少し迷うような女性に対して、立っている女性が声を掛けます。「赤ちゃんを抱いていてあげましょうか」すると座っている女性は申し訳なさそうに顔をくずして「あ、申し訳ございませーん。では、よろしい、ですか」と言って赤ん坊を差し出すのです。

一体、だれがどうすればよかったのでしょうか。












































































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